〈第12回〉
7月5日、「ものづくり産業で安心して働ける職場づくりの取り組み~労働組合の活動事例③~」というテーマで、連合岩手副会長の志賀弘基さんが講義を担当しました。自動車総連岩手地方協議会議長でもある志賀さんは、自身の所属する全トヨタ労連を例に話を進めました。
ユニオン・ショップ制であり、職場討議での意見が反映されていくしくみも説明し、職場改善は労使で取り組むことと双方が認識していると語りました。しかし限界はあり、例えば自動車関係諸税に関しては、議員に頼るしかないため、選挙にも取り組み、組織内議員もいると述べました。具体的には「自動車に関する税金が多種多様にあること」「地方の自動車ユーザーほど多く負担していること」「上がる一方であること」などを示し、税金の引き下げに動いてもらっていると紹介しました。
工学部の学生からは「あまりに休暇が多いと、ものづくりが滞るということはないか」という質問がありました。志賀さんは、そこが「交渉のバランスの取り処」と回答。「ユニオン・ショップの組合を辞めたい場合はどうする」の質問には「辞めたいと言われたことがないんです」と回答するなど、活発な質疑応答が交わされました。
〈第13回〉
7月12日、「人とつながる事業~岩手の中小企業を元気にしよう~」というテーマで、(株)ホップス代表取締役の工藤昌代さんが講義を担当しました。
工藤さんは、まずご自身の社員としての経験から話し始めました。若い頃3社に勤め、それぞれの会社で異なるスキルを身につけたことが、今の自分を形作っていると語りました。仕事漬けになった時期もあるが、「ブラック」「ホワイト」という言葉に左右され過ぎず、自分は何をやりたいか、そのためには何をするか、自分の目で見て確かめる、という姿勢が大切だと若い世代を激励しました。
その後会社を立ち上げ、山も谷もあり、人を使うことの大変さもあり、「生き物のような」会社を経営する立場からの苦心について述べられました。現在は、会社設立時からの知人の紹介で、フィンランドのデザイナーと岩手の工芸品開発を繋ぐ仕事を進めており、「人とつながる事業」というテーマ通りの縁を実感していると、感慨深く語っておられました。
学生からは「中小企業のデメリットは何ですか」「社員の時と、社長になってからでは何が違いますか」などの質問がありました。講義後には、工藤さんに直接話しかける学生もあり、経営への関心の高さが伺われました。