〈第13回〉
7月13日の提携講座では、「人とつながる事業」をテーマに、(株)ホップス代表取締役の工藤昌代さんが昨年に引き続き講議しました。
ご自身の3度の転職の経験から、「仕事のスキルは、会社じゃなく自分につくもの。耳年増にならず、自分の目で見てチャレンジして欲しい」と学生を鼓舞しました。30歳を期に会社を立ち上げ、50代で最近また別会社を立ち上げた工藤さんに、学生から「起業に資金や手続きが必要なのはわかるが、それ以外に何が必要だと思いますか?」という質問がありました。工藤さんは「自分の場合、タイトル通り“人とのつながり”だった」と応えました。
現在、フィンランドの世界的デザイナーと岩手の伝統工芸職人をつないで、商品開発を手がけているのも、誘いを受けた時、チャンスと思って積極的に人に会ったことがきっかけと述べ、「石橋を叩きすぎて割らないように」と若いうちの挑戦を後押ししました。
ホップスのWebデザイン事業から雑貨の物販へ、そして北欧とのコラボレーション事業へと展開し、おもしろそうに仕事を語り、社員との絆を大事にして働く工藤さんを見て、学生は「久々にかっこいい大人に会った」「社会に出る勇気をもらった」と希望を込めた感想を寄せてくれました。
〈第14回〉
今年度の最終回の講座は7月18日、「連合がめざす安心社会とは」をテーマに、連合本部副事務局長の山本和代さんが講議しました。
山本さんは、連合本部で非正規労働センター、男女平等、国際労働運動などを担当しています。日本では今、非正規労働者が増加し続け、初職から非正規という人も増えつつあるとデータを示しながら説明しました。また、非正規労働者に占める女性比率は高く、男性の育児参加も進まず、「非正規の課題=男女平等の課題」であるとも指摘しました。
ただし、就職を怖がる学生が増えてきたことに対しては、「ブラックは実態がない訳ではないから、避けられる」「仕事は、嫌なことをするのも含めて仕事。それで賃金をもらっているのです」と語り、ブラックかどうかを見極めるポイントも紹介しました。例えば、「労働組合はあるか」「規模が小さいのに採用人数が多くはないか」「育休を取る人、女性社員が極端に少なくないか」などです。
そして、「働くことを軸とした安心社会」を実現するためのナショナルセンターとしての連合の活動を、体験や写真を交えて語りました。各種調査や労働相談を通じて働く人の課題を集約し、それを基に政策立案に向けた意見反映を、審議会への参画などを通じて行っています。世論喚起のためには、レインボープライド等のイベントに積極的に参加したり、若者応援マガジン(YELL)を発行したりという社会発信も行っています。
講義では「着替えの時間は労働時間に含まれる」など具体的な話が多かったことから、学生からも色々な反応がありました。そのうちの「ILO勧告が何回も出ているのに、なぜ変わらないのか」という質問には、「罰則がないことが大きい。他には、日本が『国内法を全て整備しないと国連条約を批准しない』という立場を取っていることが要因の一つ」と山本さんは回答しました。他にも男性の育休や女性の働きやすさなどについて、「どうしたらいいのか」と模索しつつある学生の質問や意見が、たくさん寄せられました。